シュガーロード紀行 佐賀#008 鶴屋の丸房露 北島の丸芳露
鶴屋の丸房露を試食してみたい。
南蛮伝来の菓子なので、味も和菓子というよりやや洋菓子ぽい。
原材料を見ると、小麦粉、砂糖、卵、蜂蜜、トレハロース、重曹 となっている。
柔らかい食感と優しい甘さでコーヒーにも日本茶にも合う。
「肥前の菓子」に書かれていたが、固めの食感の蕎麦ぼうろが主流の関西の人が食べると、この柔らかさが湿気っているように感じるらしい。また、もとは長崎に伝来した菓子だったが、佐賀で広く作られるようになり、製法も改良されてきた経緯がある。
一緒に買って来た「丸房露のためのマーマレード」も食べてみる。
鶴屋には江戸時代のお菓子の製法を記した書物が残っていて、その書物に記された「三柑漬様」を現代に再現したものだそう。
「三柑漬様」の項には、 「生の唐みかんを湯で煮、よい煮加減で押しつぶし、砂糖で煮、よい加減のときにそうけに上げ、生砂糖を掛ける。もっとも砂糖蜜のままでもよい。」 と記されており、現在のジャムの製法とほぼ同じであることが分かりました。
江戸時代にもジャムのようなものがあったのが意外だ。
文中にある唐みかんというのは、温州みかんの仲間を指すらしい。
このマーマレードは、スペイン原産のクレメンティンという柑橘で作られている。
マーマレードと言えばほろ苦い味が特徴だが、このマーマレードは苦みがない。柑橘の甘みと酸味だけを凝縮したような味。
果皮が細かく砕いてあるので、丸房露ともよくなじむ。
一緒に食べると、程よい酸味が丸房露の甘味と調和して、また違った味わいが楽しめた。
ちなみに昔の丸ぼうろは小麦粉と砂糖を混ぜて焼いたもので、卵が使われていなかったらしい。そのため現在のものより食感も固かった。
明治期に入り、卵を加えた柔らかい食感の丸ぼうろをはじめて生み出したのは北島だったそう。
「焼きたて丸ぼうろを試食」で、製作の実演時にも観たが、丸ぼうろの生地は今でも一つ一つ手作業で型抜きされている。そしてオーブンに入れて焼きあがるまでの時間はわずか数分。
簡単にできそうなようでいて、実は作るのがとてもむづかしいお菓子らしい。
ちょうど北島の丸ぼうろもあったので、鶴屋のものと比較してみたい。
まず商品名が微妙に違う。北島は「丸芳露」、鶴屋は「丸房露」。
北島のほうの原材料は小麦粉、砂糖、鶏卵、水飴、蜂蜜、ブドウ糖、みりん、ごま油、重曹 となっている。
小麦粉、砂糖、鶏卵の三大主原料以外は各社の独自レシピでいろいろなものが加えられている模様。
袋を開けて並べてみると、焼き色が微妙に違うが大きさはほぼ同じ。北島のものがちょっとだけ大きい気もする。
食べ比べもやってみたが、私の舌がそれほど繊細ではないこともあって、食感や味の違いは殆どわからなかった…。
強いて言えば、鶴屋のものが僅かに甘みが強いかも。(※個人の感想です。)
とりあえず、どちらの丸ぼうろも美味しかったので良しとしたい。
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