ユメノ銀河
公開時に映画館で観た映画。
ふっと見たくなって、レンタルで十数年ぶりに観た。
浅野忠信がこんなに細面で怜悧な顔立ちだったかと驚いた。
小嶺麗奈もとても可愛い。可愛いんだけど、終始張りつめた表情をしている。全編を通して見ても(友達と一緒に居るときに、僅かに微笑むことはあっても)笑顔のシーンは殆どない。
そして2,3シーン 短い時間しか登場しないのに嶋田久作の存在感が凄い。冒頭の、着物を翻してトンネルの闇に消えていく姿が印象的。
台詞が多いわけでもなく、表面的には静かなモノクロの映像が続いていく。
だけどそれは、登場人物たちの激しい感情を押し殺したような緊張感を絶えず孕んでいる。
観終わったあと、「この映画は手許に持っておかなければ」と思い、その日のうちにDVDを注文した。
公開時、映画館でパンフレットを買った記憶があるんだけど、探しても無い。
処分することはない筈だけど何処かに行ってしまったらしい。
手許になければ、何故か一層惜しい物のような気がしてきて、ネットオークションで探して入手した。
原作の少女地獄は昭和10年頃に書かれた作品だが、この映画では時代設定を昭和30年代に変更してある。舞台となる街も或る地方都市というだけで詳細な場所の特定もなされていない。(が、「玄海港行き臨時列車」など九州を想起させる地名は出てくる。)
パンフレットにはその架空の街とバスの路線図も載っている。
三苫鐡児氏(久作の次男)も寄稿されていた。添えられた肩書は”夢野久作・杉山茂丸 研究者”となっている。
ロケ地が何処だったのかがすごく気になっていたのだが、ほぼ関東だったようで九州では撮影は行われていないらしい。エンドロールには大井川鉄道の文字があったので鉄道関連のシーンの撮影についてはその路線が使用されたのかもしれない。
特に気になるのはラストシーンの海岸なのだが、それについては特に書かれていなかった。
海岸と言えば、映画版の「ドグラ・マグラ」で一郎が絵巻物に見入るシーンの海岸も何処なのか気になる。あの海岸も岩の形がすごく特徴的だった。
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