シュガーロード紀行 塩田#003 塩田の長崎街道
さきほど貰った街並みマップを見ると、このあたり一帯は「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されているとのこと。確かに、この通りには電柱がなく、商店や病院の看板も景観になじむ色に統一してある。
この塩田のメインストリートが長崎街道とも重なるわけだが、ここの道幅は昔の街道らしからぬ広さ。だいたい車1台がようやく通れるくらいの道幅のところが多いのに、ここは車2台が容易にすれ違えるくらいの幅がある。
これは明治期に家々を後方にずらして道幅を広げたから。この通りには馬に荷台をひかせた馬鉄が走り、大正時代には佐賀県で初めての鉄道(祐徳稲荷神社ー武雄間)も開通した。
昭和40年~50年代になると、自動車など新しい運搬手段が普及し、塩田川も水害対策工事に伴って船の往来もなくなり、物流の大動脈だった塩田津の大通りと港も役目を終えることになる。
ところで、この写真右側の建物、屋根の下の白壁が曲線を描いたような形状になっていてちょっと珍しい。窓の切れ込み部分をみると壁を分厚く塗り重ねてあるのがわかる。
これは西岡家住宅。廻船業を営んだ商家のお屋敷。国の重要文化財にも指定されている。
この建物は無料で中を見学することもできる(が、公開時間は15時までとのことで、私が訪れた時には残念ながらすでに閉まっていた。次に塩田に来る機会があったら見学してみたい。)
塩田の家の立派な白壁は、この宿場が度々大火事や塩田川の氾濫による水害に見舞われたことにも起因しているそうで、災害から大切な家財を守るために分厚いしっかりした壁になったのだそう。
街なかに札の辻の跡もあった。
これはちょっと趣向が異なるが、伝統的建造物群保存地区の端っこにある昭和15年建造のペンキ塗りの木造建築。この水色は戦前の木造の建物によく使われている色。紋章を中央に配置した屋根のつくりもかわいい。
今も消防団の建物として使われている。
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