シュガーロード紀行 小城#007 小城羊羹とその歴史

シュガーロード紀行 小城#007 小城羊羹とその歴史

小城羊羹の歴史

羊羹は、字が表す通り古代中国の料理「羊の羹(あつもの=スープ)」が起源だと考えられている。

冷めることで肉のゼラチンによって固まり、自然に煮凝りの状態となる。
鎌倉時代から室町時代に、禅僧によって日本に伝えられたが、禅宗では肉食が戒律(五戒)により禁じられているため、精進料理として羊肉の代わりに小豆を用いたものが、日本における羊羹の原型になったとされる。
Wikipedia「羊羹」

小城で羊羹が作られるようになったのは明治時代から。当初は「練り羊羹」「櫻羊羹」という名で売られていたらしい。

当時小城で多く作られていたのが、原料にいんげん豆の一種である手亡豆を使い、赤の色素で色付けした”紅煉”の羊羹。きれいな色あいと、小城が桜の名所でもあったことから「櫻羊羹」という名で呼ばれるようになった。

現在広く知られている「小城羊羹」という名称をはじめて使ったのは、村岡総本舗の二代目だった村岡安吉氏だそう。
その後商標をめぐる訴訟もあったものの、 「小城羊羹」の呼称は昭和20年代には団体商標として特許庁に登録され、現在は小城羊羹協同組合に加盟した地元や近隣地域の羊羹店が使用できる地域団体商標となっている。
地域の特産品をブランドとして確立し、地域で守り育ててきた努力が長年行われてきたことが窺える。

現在、小城羊羹には昔ながらの製法で作られたものと、昭和以降の新しい製法で作られたものの2種類がある。
以下でそれぞれの羊羹について見ていきたい。

昔ながらの小城羊羹

火にかけて練った羊羹の液を大きな型に流し込み、冷え固まったものを切り分けて成形する昔ながらの製法で作られた羊羹。


村岡総本舗さんで購入してきた商品は、セロファン→紙のパッケージ→経木→竹の皮 の順で丁寧に包んである。


今回選んだのは梅羊羹、紅煉の羊羹に梅の果肉が入っている。
切り分けると断面の色合いもきれい。

食べてみると梅の味が羊羹の甘さと調和し、甘さを引き立ててもいる。表面がやや硬く中身が柔らかい食感がなんだかゼリービーンズにも似てる気がする。

時間が経つほどに表面の糖分が固まりシャリシャリとした独特の食感になる。なお日持ちはそれほど長くない。

昭和以降の小城羊羹


こちらはアルミのパック(ガゼット)に羊羹の液を流し込み、そのまま密封・成形した製法の羊羹。
アルミ包装を使った食品保存技術は1930年代に海外で確立され、昭和初期 小城の羊羹づくりにもこの新しい技術が取り入れられる。

アルミ密封することにより、羊羹の保存性は格段に高まる。

「羊羹資料館案内」に書かれていたが、小城羊羹の名が広く知られるようになった理由の一つとして、このアルミ包装の羊羹が戦前戦中に軍の携帯保存食として用いられたことが挙げられていた。

小城羊羹は海軍御用達。ちなみに陸軍御用達は東京のとらやだったそう。当時小城羊羹の名は日本だけにとどまらず、満州など海外でも知られていたという。


ミニ羊羹は食べきりにちょうどいいサイズでパッケージも味ごとに色が違う。こちらは表面もつるつるしていてる。左から、紅煉、本煉、抹茶、小倉、南瓜。こうやって並べると彩りも美しい。