シュガーロード紀行 小城#002 羊羹のまちと梧竹さん

シュガーロード紀行 小城#002 羊羹のまちと梧竹さん

羊羹のまち

小城のまちを歩くと羊羹屋さんの多さに驚かされる。

小城駅を出てすぐ目の前にも羊羹屋さん(村岡総本舗小城駅前店)、駅から延びる通り沿いにも何軒も羊羹屋さんがある。


桜月堂


八頭司伝吉本舗


むら雲堂本舗

写真に撮ったのはほんの一部。
このあと桜城館で入手したようかんMAPによると、19軒の羊羹屋さんがあるらしい。
間違いなくここは日本で一番羊羹屋さんが密集している場所だ。

全く余計なお世話だろうが、こんなに同業者ばかり密集していて大丈夫だろうかと心配になる。

「小城羊羹協同組合」の建物もあった。

桜城館

駅から5分くらい歩いたところに桜城館という建物がある。
小城市の複合文化施設で、1階は図書館、2階には中林梧竹記念館や歴史資料館などがある。

中林梧竹記念館

中林梧竹(なかばやし ごちく)は「明治の三筆」の一人に数えられる小城出身の書道家。
この記念館では梧竹の作品を展示すると共に、彼の生涯と功績を紹介している。


写真はWikipedia から

梧竹が書を学び始めたのは10代の頃から。
50代の頃には書の研究のために当時の清国にも渡っている。
60代の頃には明治天皇に書を献上、また富士山の山頂には70代の梧竹が揮毫した「鎮国之山」という銅碑が建っているらしい。
中林梧竹の足跡「鎮国之山」碑 (富士山頂上)

理想とする字を書くために自ら工夫した筆を作ったりもしていて、ものすごく毛先が短い筆なども展示されていた。

展示を観ていて面白かったのは、歳を重ねるごとに「上手い字」「きれいな字」といった枠を飛び越えて、どんどん自由奔放な書になっているところ。

その一例、これは記念館の入場券に使われている「快雨」という作品。
「快」の字は、万歳のように手を挙げた人と、横向きの駆けている人を描いているように見えるし、「雨」の字は、天から雨粒が落ちてくる様をそのまま表しているかのよう。

もうこれは文字という枠さえ超えて、恵みの雨を喜ぶ人間の躍動や感情を直に紙に描いたように見える。きっと漢字を読めない外国人でも、見た瞬間にこの文字がどういう意味で何を表現しているのかを直感的に分かるんじゃないだろうか。

こういった感じで、書に詳しくなくても楽しんで鑑賞できる作品も多数あった。

街を歩いている途中で「快雨」の石碑も見つけた。

この他にも小城のまちには梧竹が揮毫した石碑がいろんな場所にあったり、桜城館の近くには梧竹通りと名づけられた通りも存在する。今も小城の人々にとても愛されている人なんだなと思う。

梧竹の書は記念館のWEBサイトでも見ることができる。
中林梧竹記念館デジタルミュージアム

小城市立歴史資料館

ここでは古代から現代までの小城の歴史を見ることが出来る。
地元の小学生の歴史の授業にも使われるようで展示物には分かりやすい解説文がつけてあった。

現在の小城市は平成17年に小城町・三日月町・牛津町・芦刈町が合併して生まれた。

展示品の解説やパネルの説明文にあったが、旧三日月町地域からは旧石器時代から人が住んでいた事を示す石器や土器が出土しており、中国大陸からいちはやく稲作文化が伝わったことを示す弥生時代の遺跡も見つかっているそう。
(中世から江戸時代にかけてはこの地域は小城一帯でも特にお米の収穫量の多い地域となる。)

古墳も多数あり、奈良時代や平安時代に建立された古刹も存在する。また、15世紀頃の小城は北部九州では博多についで人口の多い地域だったらしい。

小城を語る際に出てくる言葉の一つに「小京都」があるが、この言葉からも、小城が長い歴史があり 文化的にも豊かな場所であったことがうかがえる。

小城駅の待合室にあったたくさんの本も、こういう土地柄を反映している気がする。

これは桜城館のロビーにあったパネル。
小京都と呼ばれる場所は、全国にこんなにたくさんあるらしい。

ようかんMAPやまちあるきの案内地図があったので、貰って次の目的地へ向かう。

(来訪日:2018/02/11)